第一二回 2005.02.24 配信



みなさん、こんばんは。満月の日の夕方にお送りするお話、十二回めの今夜、新しい縁起物が誕生します。





蟲話12 「神さまのうまれかた」


◆ 三猿

庚申講の人気キャラクターであり(蟲話第九回参照)、 また日光東照宮の厩舎の彫刻でもよく知られている、 「見ざる、聞かざる、言わざる」の三匹の猿。

まとめて三猿(さんざる/さんえん)などと 呼ばれて親しまれている彼ら、 当然「○○ざる」の否定形と「サル」の洒落から 生まれたものだと思いきや、 意外なことにそうではないようです。

なぜそういえるか、というと、 三猿のモチーフは世界中でみられるから。 起源はよくわかってないのですが、 古来よりインドやアフリカ、そして サルのいないヨーロッパや朝鮮半島にも 多く三猿像が広まっています。 世界各地の三猿像の写真がたくさん載った 「世界の三猿」(中牧弘允/東方出版)なんて 本まで出版されているくらいです。



◆ 四猿

その「世界の三猿」には、三猿のバリエーションとして、 「せざる」を加えた四猿がしばしば登場します。 「せざる」のサルは、両手を股間にあてているポーズ。 文字通り、性行為を禁じる役割です。

ん?そういえば庚申の日の注意書きにもたしか、 「同衾を避けること」とありました。 三猿だけじゃなくてこの「せざる」も、 庚申になじみが深そうです。


◆ 神さまがうまれる

ではここでひとつ、 庚申のためのサルも考えてみることにしました。 夜を徹して蟲を見張るのが庚申講だから、 一番の「○○ざる」はやはり、 「寝ざる」になるでしょうか。

「寝ざる」というと、目を見開いているのかな、 などと考えながら、ノートに走り書きをしているとき、 紙の上でちょっとした奇跡が起きました。

寝ざる → ネザル → ネ申 → 神 (!!)

はからずもここに、「神」がご光臨!


◆ 五猿

ということで、 三猿に「せざる」と「寝ざる」を入れて、全部で五匹。 庚申のための新しいモチーフ「五猿」が生まれました。

五匹のサルは「ごえん=ご縁」につながるとされ、 わりと昔から、「月と五猿」などの吉祥画として ありがたがられていた様子。

ならば、人と人との「ご縁」の中で活動している われわれ東京庚申堂の象徴としても、 「見ざる、聞かざる、云わざる、せざる、寝ざる」 の五猿は、まさしくぴったりの存在です。

この話をすると、 友人であるデザイナーの鈴大くんが 五猿のマークをつくってくれました。 おぉ。なかなかかわいいですね。

五猿
http://www.koshindo.com/image/goen.gif

てなわけで、 ぼくらのネットワークの神さまが、ここに誕生。
人脈つくりに千客万来、IT起業から縁結びまで。
ご縁に悩める小猿たち、寄ってらっしゃい。

信じるものはみな、つながれる。 どんどんつながって、 独りじゃできない新しいなにかを、 いっしょに生み出していきましょう。




これまでに配信してきた蟲話の アーカイヴをつくりました。 過去の蟲話を未読の人や、 あらためてゆっくり読んでみたい人は、 ぜひ覘いてみてください。

蟲話アーカイヴ
http://www.koshindo.com/mushibanashi.html

次の満月は、3月26日。 そして、蟲話は最終回となります。







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