みなさん、こんばんは。満月の日の夕方にお送りするお話、十二回めの今夜、新しい縁起物が誕生します。
蟲話12 「神さまのうまれかた」
◆ 三猿
庚申講の人気キャラクターであり(蟲話第九回参照)、
また日光東照宮の厩舎の彫刻でもよく知られている、
「見ざる、聞かざる、言わざる」の三匹の猿。
まとめて三猿(さんざる/さんえん)などと
呼ばれて親しまれている彼ら、
当然「○○ざる」の否定形と「サル」の洒落から
生まれたものだと思いきや、
意外なことにそうではないようです。
なぜそういえるか、というと、
三猿のモチーフは世界中でみられるから。
起源はよくわかってないのですが、
古来よりインドやアフリカ、そして
サルのいないヨーロッパや朝鮮半島にも
多く三猿像が広まっています。
世界各地の三猿像の写真がたくさん載った
「世界の三猿」(中牧弘允/東方出版)なんて
本まで出版されているくらいです。
◆ 四猿
その「世界の三猿」には、三猿のバリエーションとして、
「せざる」を加えた四猿がしばしば登場します。
「せざる」のサルは、両手を股間にあてているポーズ。
文字通り、性行為を禁じる役割です。
ん?そういえば庚申の日の注意書きにもたしか、
「同衾を避けること」とありました。
三猿だけじゃなくてこの「せざる」も、
庚申になじみが深そうです。
◆ 神さまがうまれる
ではここでひとつ、
庚申のためのサルも考えてみることにしました。
夜を徹して蟲を見張るのが庚申講だから、
一番の「○○ざる」はやはり、
「寝ざる」になるでしょうか。
「寝ざる」というと、目を見開いているのかな、
などと考えながら、ノートに走り書きをしているとき、
紙の上でちょっとした奇跡が起きました。
寝ざる → ネザル → ネ申 → 神 (!!)
はからずもここに、「神」がご光臨!
◆ 五猿
ということで、
三猿に「せざる」と「寝ざる」を入れて、全部で五匹。
庚申のための新しいモチーフ「五猿」が生まれました。
五匹のサルは「ごえん=ご縁」につながるとされ、
わりと昔から、「月と五猿」などの吉祥画として
ありがたがられていた様子。
ならば、人と人との「ご縁」の中で活動している
われわれ東京庚申堂の象徴としても、
「見ざる、聞かざる、云わざる、せざる、寝ざる」
の五猿は、まさしくぴったりの存在です。
この話をすると、
友人であるデザイナーの鈴大くんが
五猿のマークをつくってくれました。
おぉ。なかなかかわいいですね。
五猿
http://www.koshindo.com/image/goen.gif
てなわけで、
ぼくらのネットワークの神さまが、ここに誕生。
人脈つくりに千客万来、IT起業から縁結びまで。
ご縁に悩める小猿たち、寄ってらっしゃい。
信じるものはみな、つながれる。
どんどんつながって、
独りじゃできない新しいなにかを、
いっしょに生み出していきましょう。
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これまでに配信してきた蟲話の
アーカイヴをつくりました。
過去の蟲話を未読の人や、
あらためてゆっくり読んでみたい人は、
ぜひ覘いてみてください。
蟲話アーカイヴ
http://www.koshindo.com/mushibanashi.html
次の満月は、3月26日。
そして、蟲話は最終回となります。
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