page01 制作篇
すべては天気予報から始まった
そもそもこの日は、「庚申山という霊峰に登って、山荘に泊まろう」という、非の打ち所なく健全かつマトモな企画を実施する予定だった。
ところが数日前からの天気予報が雨だったため、急遽こんな企画にすりかわってしまった。
登山からおっぱいプリンへの華麗なる凋落。
「デカいおっぱいプリンをみんなでスプーンで踏破する。これもある意味、苛酷な山への挑戦なんだ」という、かなりこじ付けの企画変更に、山岳関係者からクレームが来ないことを祈るばかりである。
そして当日。

昼過ぎ、だらだらと制作班が集まる。班といっても二人。
みんな食べる方には手を上げたのに、作る段階からの参加には沈黙を守り抜いたのだ。だが気持ちはよくわかる。誰にだって自分の人生を有意義に使う権利がある。
とりあえずテンションをあげるため、「おっぱいズ」という脳を使った形跡が微塵もみられないチーム名を自らにつけ、それぞれ片胸の担当を決めた。

ヘンな帽子で無理矢理テンションをあげようとしている

「やっぱお椀サイズじゃ物足りないっすね」
飲みながら大きいプリンをつくる
プリンの作り方は簡単。プリンの素を温めた牛乳に溶かし、ボールに流し込んで冷蔵庫で冷やすだけ。
ボールは都内最大のダイソー錦糸町店にて、一番形と大きさが適当なものを買った。
プリンの素はハウス食品の「プリンミクス」と「プリンエル」。二種類の商品を使って二つのプリンを作り、食べ比べてみようという探究心の結果である。
というのは嘘で、じつは一軒めのスーパーにはプリンの素の在庫が少なくて、別のスーパーで買い足したところ、間違って別物を買ってしまったのだ。
「プリンミクス」と「プリンエル」の違いは、お湯で作るか牛乳で作るかということ。とはいえその白い粉をお湯で溶いただけで美味いものができるとはとうてい思えなかったので、両方とも牛乳を使うことにした。

これで4リットル強のプリンをつくる。
「プリンエル」は「エル=L(Left)」いうことで、左おっぱい用にする。 酒飲みながら混ぜた「プリン溶液」をボールに流し込み、冷水でアラ熱を取ったあと冷蔵庫へ。 「プリンミクス」で右おっぱいも同様に作る。



少し余ったプリン溶液をお椀にも入れて、作業は以上。だらだらやっても小一時間でできたので、あとはダベりながら飲んだりウトウトしたりして時間をつぶす。