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とびっきりJRな旅
JRの路線を使って、JRのロゴが描けないだろうか。
そう思いたったぼくは、全国版の路線地図を買い、日本中の路線を指でたどってみた。JRのロゴはうまい具合に一筆書きだし、たいして複雑でもない。すごく辺境の地でできちゃったりするんじゃないか、と期待したが、案外うまくいかない。地方になるほど線が密に走ってなくて、思う形にならないのだ。結果、千葉あたりでそれっぽいコースをみつけた。
路線図でみる限り、わりといい感じにロゴが描けることが確認できた。しかし、しょせんは路線図。実際に乗って大地に描いてみなくちゃ、本当にJRのロゴになってるかどうかわからない。
JR電車を乗り継ぎ、その軌跡でJRのロゴを描く。間違いなく、こんなネタに同行してくれるのは、以前にもつきあってくれた彼らだけだ。さっそくお誘いメールを出した。
「JRの旅」
日 時 2009年10月31日土曜日朝9時30分
集 合 東京駅銀の鈴に集合
内 容 JRで旅します。
持ち物 ホリデーパス。あと道中ヒマつぶしできそうなもの。
なお、千葉方面の地理に詳しい人は、どこをどう進んでいるかをイメージしながら読み進めると、より楽しめるかもしれません。
まずは出発点の袖ケ浦へ
当日の朝。あいかわらず内容も目的地も知らされていない二人と合流する。
「さあ、今日はどこに向かうんですか」
「ちょっと待って。もうすぐミスターXから指令が来るはず」
「ミスターX?」
そうなのだ。今回「その都度、メールで行き先の指令が来る」という誘拐モノの小説に出てくるような遊びがしたくて、前日タイマーを使って仕込みをしていた。
「すげー。これ、どうやったの?」
「知らないよ。ミスターXから送られてきたんだから」
「送り主、ヤマグチさんのPCメールアドレスになってますよ」
「…しまった」
京葉線ホームに向かい、蘇我行きに乗る。そこはかとなくデジャヴ。今回は、「ホリデーパス」という関東地域乗り放題の切符を買った(2300円)。これがあれば、運賃を気にせず乗り降りすることができる。
終点の蘇我で内房線に乗り換え、11時1分袖ヶ浦に到着した。
「さあ、ここが出発点です」
「え、まだ始まってなかったんですか」
「とりあえずスタートするので、これを下げてください」
「なんすかこれ」
「GPSロガー。移動した位置情報が、この中に蓄えられます」