〜いずれは皆の集まる大海に広がる〜
本文へジャンプ 2006年02月11日update 

 


【しずく】二十二滴目

2005年09月14日降下


これで旅紀行文は終了です。

長々と読んで頂いた皆様有難う♪

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

9月10日
 『帯広〜このぉ木何の木?〜旧国鉄跡地』
9月11日
 『十勝平野〜夕張〜再び札幌』
9月12日
 『小樽運河〜神威岬〜帰途』

9月10日
 『帯広〜このぉ木何の木?〜旧国鉄跡地』

北海道の旅もあと3日。残された日はユッタリと旅することにした。

目的地1箇所目は昔のCMで有名な「この〜木何の木?気になる木…」の木を激写。
十勝川の川岸にあるこの木は、あまり特徴のない木どこにでもありそうな木。
ただ、広い草原にこの木だけがニョッキリ生えているから画になる!
それにしても美瑛にあった各CMの木にしてもこれをCMに使用することを思いついた
人はすごいんじゃないのか?
これらの木にはたまたまCMの採用されただけで、多くの観光客が押し寄せ、
その周囲では当然商売が成り立っている。
ただし北海道にはこの手の画になる環境が腐るほどある。
皆、観光地をただ廻ることに満足してそんな場所を探そうとしない…
写真を撮りながらそう思った。
モッタイナイ話しだ。
灯台下暗し!
まあそんな自分も似たり寄ったりか!?

帯広に着いたのはちょうど昼時だった。
この地で楽しみにしていたものがある。
帯広名物〈豚丼〉!!
数ある観光MAPのオススメ豚丼の中から本当の当りクジを引くのは至難の業だ。
其々に特徴があり、全てが美味しそう!
その中から、駅から少し離れた「鴨川」という店を直感でチョイス。
実際行ってみると狭い店内(定員10名程度)に先客2人のみ…
土曜日の昼時なのに??
ちょっと失敗?
味噌豚丼をお願いしておよそ5分。目の前の厨房で頑固で恐そうなオヤジが
フライパンを振っている。味噌のいい匂いがやがて香ばしくなって…
あぁやばい。早く食べたい…
「おまちどうさま」
と、おばちゃんが持ってきてくれた豚丼は幾重にもなった厚切りの豚肉が
テカテカに輝いていて、上にチョコッとオロシ生姜がのっていた。
「美味いぃ♪」
柔かいお肉にチョッと濃いめの味噌ダレがご飯とよく合う!
生姜が口の中をサッパリとさせてくれて、う〜ん最高!
いつの間にか他にお客も居なくなっていた。
オッチャンが車のナンバー見て
「京都から?」
そこからオッチャンとカウンター越しに語りまくってしまった。
最近有名になってしまって1時ごろからは行列になる事も多いとのこと。
でも、1度に最高3名分までしか作れないのでどうしてもお客さんを待たせてしまう。
効率を考えるともっと簡単な方法はあるし、周囲の店は皆効率&利益重視の傾向。
でも自分は不器用なので…
と、高倉健のようなことを延々と15分位話してくれた。
幸いこの間、他にお客さんも来なかったのでとてもラッキーだった。
なかなか有名店のオッチャンとジックリしゃべれないもんね。
それにしても職人として、儲けよりも作品に対して妥協しないオッチャンの
男気に惚れてしまいました。これからの自分に常に言い聞かせていきたい
ことです。オッチャンと豚丼の写真を見るたびに思い出すでしょう!

その後糠平湖畔にある、旧国鉄の廃線を見に行った。
ここには昔の鉄道アーチ橋が湖に水没しでおり、水位の下がるある時期だけ
廃橋の一部が湖面に現れるという場所。
天気が良かったので良い画ではあるが、なんだか寂しい画。
周囲には倒れて流れてきた流木が岸に沢山打ち上げられて、まさに屍の場所…
う〜ん、なんだかねぇ

9月11日
 『十勝平野〜夕張〜再び札幌』

起床は十勝平野を望む高台のパーキングだった。
朝焼けで平野が赤く染まってくる。
カメラ片手に外へ出ると眼下の草原に朝食中の馬の群が見えた。
なんとも…
素晴らしい光景だ♪
朝から今日は縁起がいい!

長い峠道を快適に飛ばし、炭坑の街夕張に向かった。
夕張は炭坑・メロンの他に1つ名物がある。
名画「黄色いハンカチ」の舞台。
そのセットが無料で開放されている。
この映画、観たことないがなんとなくストーリーは知っている。
殺人罪で網走刑務所に入所した高倉健を、それでも迎えてくれるなら黄色いハンカチ
を軒先に出しておいてくれ!と奥さんに託す。数年後の出所の際にひょんなことから
武田鉄也・桃井かおり(みんな若いぃ〜)と故郷夕張まで旅をするという話し。
映画のダイジェスト版も流されていて、ロケセットの中に居るせいかかなり
感情移入してしまいました。
ここで圧巻なモノがある。セットの部屋の中がまっ黄色なのだ!
元々は長屋のセットなので木作りなのだが、部屋の中一面に黄色い紙に
願い事を書いた紙が幾重にも貼り付けられている!!ある意味相当キモイ…
しかしこれだけ沢山の、色んな人の想いがここにあるのかと思うと神聖な場所
にも思えてくる。

この旅で、幾つか映画のロケ地を廻った。
尾道「転校生」「男たちの大和」、呉「海猿」、長崎「釣りバカ日誌」、北海道「北の国から」等
帰宅したら時間をみつけてこれらの映画を違う視点で映画鑑賞してみたいと思う。

炭坑歴史館という所も行ってみた。当時の写真が多く展示されており、その中でも
印象的な写真があった。2人の男性が炭坑最前線で弁当を食べている。ススで真っ黒
になった顔や衣類。ススが入らないように弁当のフタを半分閉めて隠すように食べている。
ここに2人のコメントも載っている。
「ウチのカーちゃん、今でもワシらが弁当食べるのは安全な事務所に戻ってからと
思ってる。こんな写真見せるの、炭坑辞めてからやなぁ…」
なんだかグッとくる写真だった。

この日、再び札幌へ戻ってきた。
食べ忘れたヤスのオススメ〈スープカレー〉を食べるためだ♪

ヤスに会う前に札幌市内にあるモエレ沼公園という所に行ってみた。
ここは、彫刻家ノグチイサム氏がプランナーとして参加して創られた場所。
興味あり!!
公園中央にある2つのピラミッドのような大きな高台がシンボルになっており
周囲の建物も芸術的な様相をしている。
しかしそれらの建物群よりも印象的だったのは、そこに集まっている人たちの表情。
思い思いに休日を楽しんでいるその笑顔には、カドのない大らかさがあった。
都会の公園の雰囲気とは感じてくる空気がなんとなく違った。
うまく言いあらわせないが…
自然とシャッターを押したくなる!そんな空気♪

食事の前に風呂に入ろうかと、ヤスと豊平峡温泉に向かった。
ここの露天はとってもいい雰囲気!岩で組まれた風呂は広くて開放的!
ビール持って入っている人も居る。羨ましい…
冬の夜はさぞかしいい光景なのでしょう。

この温泉、館内にあるレストランが変わっている。
通常、そばとか定食が多い風呂の食堂が「本格インド料理」なのだ!
香辛料の利いたカレーの香りが、風呂上りの空腹を刺激する!!
人間の欲求をベストなタイミングで上手く刺激するこの手法、参考になる…

夕方、北海道公演中のぐれっちも加わってお待ちかねのスープカレーを
食べに行った。外見はプレハブ建物なのだが、1歩中へ入るとなんともオシャレ!
白基調の店内にイームズやパントンの椅子が並べられ、所々にパステルカラーやメタル
なアクセントが施され近未来空間的な空間。
ゴロゴロと入った野菜、モモ肉1本入ったスープカレーもメッチャ美味でしたが
この雰囲気も併せて◎なお店でした。

9月12日
 『小樽運河〜神威岬〜帰途』

長いようで短かった旅も今日が最後。
帰りのフェリーは夜中の12時前に苫小牧を出航する。
最後の日を噛締めよう!!

朝、ヤスと分かれてから小樽へ向かった。
本当ならここは北海道初日に廻っていたはず…
まぁフェリー間違えたおかげで新潟でユックリできたし良しとするか。

朝の小樽運河は観光客でイッパイ。
運河沿いに古い倉庫が建ち並ぶ。雰囲気はあるがこの観光客の奇声とウジャウジャ感
はチョッと苦手だ…
ここは北一硝子でも有名なガラス工芸の街でもある。
街のいたるところにあるステンドグラス、古い街並みのアクセントとして
とてもキレイでした。

ふと近くに停めてあった車を見ると、知床でチョッとだけ話しをした仙台からの
旅行者の車。車内にその人は居なかったがなんとも偶然!
こういう人って他でも偶然逢ったりするんだよね。

ここから積丹半島の端にある神威岬へ向かう。
半島の海岸線には奇石と荒々しい断崖絶壁が続き、この地の荒々しい気候が
想像できる。中には巨岩の根元が波の浸食で細く削られ、立っているのが
不思議なモノもあった。多分あれはオレのライダーキックで倒れる。

多くの神々が住むと言われる神威岬は先日の台風並みの強風が吹き荒れていた。
よって細く続く岬の先は本日立ち入り禁止!?まぁあの状況で入ったら何人かは
ホンマ飛ばされるね。婆ちゃんとか多かったし。
風が強すぎてカメラを押さえ込むのも困難な状態です。
だからこそ展望台から観るその岬は神聖な場所に感じる。
この強風も入ってはいけないという自然からの合図なのかもしれない。
因みにこの場所、チョッと前まで「女人禁制」の地であり、今でもその看板が
立てられている。
荒々しいけどコバルトブルーの海、我々を妨げる風、切立つ断崖絶壁。
残念ではあるが行けないから余計に神秘的に思えた。

雲のかかる羊蹄山を眺めながら苫小牧のフェリー乗り場へ車を走らせる。
36日の日本旅。メーターを見ると総走行距離は7,000Kmにもなっていた。
押したシャッターの数は1,200を超える。
ホント良い旅が出来た!!
苫小牧の名物「ホッキ天丼」を食べてフェリーに乗り込んだ。