東京庚申堂通信 ちょっと蟲のイイはなし

サルを()ぐもの

蟲話 #10 2004年12月27日 満月
ニッポンの夜明けは、近いでしょうか。

もうひとつのモチーフ

庚申講には、いろんなところで「サル」が出てくる。というおはなしを、前回の蟲話「サルが()ぐもの」でお伝えしました。

ちょうどその蟲話を書いているとき、ぼくはうちの祭壇に祀られている掛け軸を眺めていて、ふと、サルの下に二羽のニワトリが描かれているのに気づきました。

はてさて、ではニワトリは、庚申講とどんなつながりがあるんだろう?

一つめの、もっともな理由

その一つめの答えは、調べるとわりと簡単に出てきました。前回の蟲話にも出てきた、青面金剛という庚申の神さま、この神使(お稲荷さんにとっての狐みたいなもの)が、実はニワトリだったようなのです。

前回の蟲話で、青面金剛は山王権現から神使のサルを引き継いだ、と述べましたが、つまりニワトリは主人が出世したさい、一番の家来の座を、サルに奪われていたのですね。

とはいっても、ニワトリも一応、古参の家来ではあるので、青面金剛のいるところには、ちょこっと下のほうに描かれているというわけです。

二つめの、もっともっともな理由

そんな"神さまがわの都合"みたいな理由のほかに、もっと実際の庚申講に即した説も見つけました。

庚申講は基本的には、夜通し起きている行事ですが、ある地域ではその終わりが、「ニワトリが鳴くまで」と規定されていたのです。

ならばその地域の人々にとってニワトリの鳴き声は、眠くてつらい庚申講の終わりを告げ、人々を日常に戻してくれる、ひとつの区切りのような存在。だからこそ下部にニワトリが現れてくるのだろう、と、その説は述べています。

ほう、つまり当時の人々はニワトリの絵を見つつ、ニワトリを待ち望んだというわけか。

そして三つめの、もっとももっともらしい(?)理由

それら二つの説を「なるほど」と思い、ぼくは今いちど、掛け軸を眺めました。と、そのとき、もうひとつの理由がぼくの頭に浮かんだのです。

「あ、干支もだ」

そう、子丑寅卯…の十二支の順番でも、サル(申)の次にはニワトリ(酉)が来るのです。あら、不思議。

サルを()ぐもの

てなわけで、どの説が正しいとか、そういう話はひとまず措くと、ニワトリは・青面金剛の家来としてサルの下におり、・庚「申」講の終わりを告げてくれるものであり、・干支の順番でもサルの次にくるものである、となります。

普段目立たない下っ端ながら、しっかり庚申講の幕を引き、その後を担っていく、ニワトリ。だとすればやはり、ニワトリはサルを継ぐ大切な存在なんだ。

ううむ、サルだけじゃなく、ニワトリもまた、あなどりがたし。

次 回 予 告

蟲話 #11 偽三尸があらわれた!

申の年である2004年も、あと4日ほどで終わりですね。来年こそはサルを継いだニワトリが、ニッポンの夜明けを告げてくれると期待しています。それではみなさま、よいお年を。次の満月は、年明け一月二五日です。